韓国のりの想い出

大学生のとき、とある授業の担当が、韓国人の非常勤講師の方でした。日本での研究生活が長いらしいその先生は、当時おそらく40代後半くらいの年齢で、とても美人さんで、はきはきと話す人でした。授業はこじんまりとした教室で、受講者は異様に少なくて、確か6限で…というのは覚えているのですが、その授業の科目名とか、何を勉強したかという肝心なことは全く思い出せないほどに、内容には集中できていなかったダメな私でした。それでもひとつだけ、その先生のことで、ずっと覚えていることがあります。

ある日、その授業が突然休講になりました。翌週に会った先生は「先週は休講ごめんなさい。母が亡くなって、韓国に帰っていたので、お土産です」と言って、少ない受講者に小分けになった韓国のりを配ってくれました。一瞬でも休講をラッキーと思った、前の週の自分が恥ずかしくなりました。先生は笑顔で続けました。

「母が亡くなって、すごく悲して辛かったです。でも日本に戻る日、向こうの空港で、『あ、皆さんにお土産買おう』と思って韓国のりを購入している自分がいて、なんだか可笑しくなりました。母のことで悲しくていっぱいだったのに、お土産のことを考えているんですよ。でも人ってそうやって、生きていくんですね」

それからこの先生とは一度も会っていないですが、すっと体に染み込んだこの言葉を、私は今でも韓国のりを見るたびに、悲しいことが降りかかったときに思い出しては、少し勇気づけられています。今だったら、もっと先生のいろんな話に耳を傾けられたのになと、ちょっと悔しい気持ちにもなりますが、素敵なことを教えてもらったなぁと感謝しています。雨の朝の、備忘録。

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チャウドックへ

一週間のベトナム滞在中、ツアーと共にメコン川流域の地、An Giang(アンザン)省の Châu Đốc(チャウドック)という場所に行ってきました。一泊してツアーはここから船でカンボジアの首都プノンペンへ移動、私はひとりホーチミンへと引き返したのですが、このチャウドックのことを少しだけ記録しておこうと思います。

ホーチミン市の中心部を朝7時30分に出発、途中の休憩をはさんで、14時過ぎには目的地であるチャウドックのホテルに到着しました。数年前まではもっと時間がかかりましたが、道路が整備されたおかげ少し短縮されました。道中、アンザン省に入ったばかりのあたりで、車のドライバーさんの紹介でとある食堂にて昼食をとることになりました。ドライバーさん曰く「この店に来たことがないということは、アンザン省に来たことがないということだ」というほどの有名店だそう。お店の情報は下記のおしぼりに記載されています~。

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外国人グループは我々だけでしたが、店内は地元の人々、あるいは国内旅行風の人々でとても賑わっていて、熱気に包まれていました。ただし「熱気」の理由は人の多さだけではなく、実はここは、アンザン省名物の「Lẩu mắm(ラウ・マム/発酵魚鍋)」が美味しいと評判の店だったのです。暑い土地で汗を流しながら食べる鍋というのもまた悪くありません(食いしん坊)。ちなみに mắm(マム)という単語、nước măm(ヌォック・マム/魚醤)でも使われベトナムではよく耳にしますが、川本邦衛先生の『詳解ベトナム語辞典』には「ベトナム風塩辛(小魚を塩と炒り米の粉の中に漬けて発酵させた食品)」と書いてありました。さてその鍋ですが…

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なんとも言えない、闇鍋感!(笑)うなぎのブツ切りがそれを助長しているのですが、上述した「マム」が使われているためにかなり独特の匂いもあって、メンバーの中には顔をしかめる人も。気持ちはよくわかります、でも私は過去の経験から知っているのです、この鍋が美味しいことを!こんなに魚介たっぷりなんだから美味しくないはずはなく、実際に食べてみると、いろんな味がうまい具合に調和していて絶品!ドライバーさんがオススメしてくれるのも納得でした。

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鍋には魚介の他にたっぷりの野菜を入れて一緒に煮込みます。個々のお椀には Bún(ブン/米麺の一種)を盛り、  そのうえに鍋の具材を取って食べるのがベトナム風。だんだんと、匂いさえも気にならなくなる美味しさなのですから不思議です(ドリアンと通ずるところがありそうな…)。

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鍋をいただいてからさらに1時間ほど車で走り、無事にチャウドックに到着。写真は宿泊したホテルのテラスから撮ったものです。川の上に住まう人々の暮らしが垣間見え、この地域ならではの風景が広がっていました。何度も来ている場所なのですが、来るたびにやっぱり好きだなと思います。つい、ホーチミンの喧噪と比較してしまうのかもしれません。

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今回は束の間の滞在でしたが、ベトナムのあちこちの土地に行けるのはいつまでたっても嬉しいことです。私はカンボジア行きの船には乗りませんでしたが、水路で国境を超えるってものすごく浪漫があるなぁと思います。日本にいたらなかなか味わいにくい「国境」という概念に、少し思いを馳せてみたひとときでした。このテラスで飲んだサイゴンビールの味といったら。

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ホーチミンへ行ってきました

先週、ホーチミンに行ってきました。ARBAが主催する体験ツアーとベトナム編をご一緒させてもらうためでした。寒い土地から酷暑の土地へと飛ぶので体調が不安だったのですが、現地でたくさん汗を流してデトックスできたのか、すこぶる元気な帰国後の今です。連日35度でしたが、乾季なのにスコールが降る日もありました。

ツアーの詳細はここでは割愛しますが、9月から半年ぶりのホーチミン滞在。わずか半年でこんなに…と驚くほどに街の様子、特に1区中心部の様子が変化していました。街が生きてるみたいって、こういうことを言うのでしょうか。地下鉄工事はどんどん進み、新しいお店やビル・マンションが出現していたり。新しいお店の中には和食レストランもあって、なんだか不思議な気持ちでした。現地の友人もまた「住んでいる私でさえ中心部に行くとビックリよ」と話していました。

それでももちろん、変わらない風景もたくさんあるわけで。半年前の滞在で何度も訪れた緑豊かなタオダン公園には、飼い鳥の美しい鳴き声を堪能しながら珈琲を飲み、談笑をする人々の姿がありました。前回時間をもらって話し込んだ物売りのお姉さんもお元気そうで、これ買いなさいよ攻撃がすごかったです(笑)

美味しいごはんや香り高い珈琲を味わい、元気で明るく日々を楽しむ現地の友人たちの姿を確認すると、本当に、活力をもらえた気持ちになります。これからもこうして、半年に一回ペースでもいいから、訪れることができたらいいなと願っています。

※以下の写真をクリックすると拡大してご覧いただけます。

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