今日のベトナム語~よいお年を

早いもので、2016年も今日で最後となってしまいました。12月も後半になると、年末のご挨拶として「よいお年を」と声を掛け合ったりするものですが、この「よいお年を」にあたるベトナム語は何だろうと考えたときに、Chúc bạn ăn Tết vui vẻ. (チュック・バン・アン・テッ・ヴーイ・ヴェ~)=「楽しいお正月を」が浮かびました。日本語とのニュアンスの差はありますし、日本語の「よいお年をお迎えください」をベトナム語に訳す形で表すこともできるとは思いますが、同じような場面(年末のご挨拶)で自然に使われるであろうフレーズとして、以下、これについて紹介したいと思います。

【Chúc+二人称+……+vui vẻ.】という型で、「あなたが……を楽しむことを願います」という慣用句。 Chúc は動詞の「願う・祝う」、二人称「あなた」は相手にあわせてその都度変動(今回は便宜的に bạn を使っています)、最後の vui vẻ は形容詞の「楽しい」。この型で日本語の「よい〇〇を」という言い方にあてはめることができます。例えば、

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Chúc bạn cuối tuần vui vẻ. (チュック・バン・クォイ・トゥアン・ヴーイ・ヴェ~)

→「よい週末を」 *cuối tuần は名詞で「週末」

Chúc bạn du lịch vui vẻ. (チュック・バン・ズー(ユー)・リッ・ヴーイ・ヴェ~)

→「よい旅を」 *du lịch は動詞で「旅行する」

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といった感じ。点線部には名詞がきたり動詞がきたりとさまざまです。

さて今回の「よいお年を」。Chúc bạn ăn Tết vui vẻ. をあらためて見てみると、点線部にはăn Tết という二語が挿入されています。これを分解すると ăn=「食べる」(動詞)、Tết=「お正月」(名詞)で、「あなたが楽しくお正月を食べることを願います」→「よいお年を」という言い方になっています。日本語のように「年」という単語ではなく、「お正月」を使っているので、上述したように日本語とのニュアンスの差はありますが、この「お正月を食べる」と言い方が何ともユニークで、私は好きなのです。

これに似た表現で ăn đám cưới (アン・ダム・クォーイ)=「結婚式を食べる」というものもあって、例えばNgày mai chị đi ăn đám cưới. 「明日私は結婚式に行きます(=結婚式を食べに行きます)」という風に使ったりします。私は今のところこの二つのシチュエーション(お正月と結婚式)以外では、祭事ごとの前に動詞の「食べる」を伴うパターンを見たこと・聞いたことがないのですが、もしかしたら他にもあるのかもしれません。

ではお正月や結婚式を、なぜに「食べる」のか? この疑問を解消したくて、これまでにベトナム人の友人たちに聞いて回ったのですが、皆さんからの回答は「だってお正月も結婚式もたくさん食べて楽しむものでしょ」というもの(笑) まぁ確かにそうなのですが、他に何か意味があるんじゃないのかなぁ~と思ってモヤッとしたまま現在まできてしまっている私です。私は今のところは、「食べる」つまり「味わう」という意味なのかなと思っていて、「よいお年を」の場合であれば、「あなたがお正月を楽しく味わう(楽しく過ごす)ことを願います」ということが言いたいではないかと解釈しているのですが…。

 【1月17日追記】VIETJO Lifeさんでこのテーマを取り上げた記事を発見しました!参考にさせていただきました。→こちら

と、ここまで書いてはみたものの、ご承知の通りベトナムでは旧正月が本番。2017年は1月28日が元旦で、明日1月1日は祝日にはなっていますが、ベトナムの人々の伝統的で精神的な意味でのお正月はもう少し先のお話。上述してきた挨拶表現についても、現地では1月28日が近づいてくるにつれてよく耳にするようになってくるかと思います。

ですが西暦では本日が最終日。2016年も多くの方々に支えていただき、元気に過ごすことができました。本サイトをご覧くださっている稀有で貴重な皆さま、いつも本当にありがとうございます。来年も皆さまがご多幸に恵まれますように。どうかよいお年をお迎えくださいませ。Chúc bạn ăn Tết vui vẻ 🙂

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今日のベトナム語~葉の緑、空の青

校閲のお仕事をしていて、ふと「緑」というベトナム語に手が止まりました。そういえば、好きなベトナム語単語のなかに「緑」と「青」という色の表現があることを思い出しました。「緑」も「青」も、共に xanh (サィン)という単語を使いますが、これでは二色を区別することができないので、より具体的にこんな言い方をします。

緑=xanh lá cây (サィン・ラー・カイ)

青=xanh da trời (サィン・ザー(ヤー)・チョーイ)

 lá は「葉」 、cây は「木」、da は「肌・皮」、trời は「空」を表します。つまり、緑は「木の葉の緑」、青は「空の肌の青」という言い方です。なんて素敵な、詩的な表現なんだろうと、ベトナム語の先生に初めてこれらの単語を教わってから、ずっと好きでいるのです。

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書店FAHASAにて②

前回の記事でFASAHAで見つけた日本文学のベトナム語翻訳版を紹介しましたが、別の棚では日本関係のこんな本もあり、ちょっと気になっていました。どちらも日本に住んでいた・住んでいるベトナム人筆者による、日本での暮らしや仕事について書かれたものです。

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(左)Nhật Bản đến và yêu→「行って、愛した日本」(仮訳)

(右)Đến Nhật Bản học về cuộc đời→「日本に行き人生を学んだ」(仮訳)

どちらも私の仮訳ですが、このような意味のタイトルです。1988年生まれのDương Linhさんと1992年生まれのLê Nguyễn Nhật Linhさんという若い女性筆者による自身の日本での体験記。特にDương Linhさんは有名な方のようで(本の紹介によれば現在は長崎国際大学で日本語教師をされているとか)、先日東京にいるベトナム人留学生たちに聞いてみたら、名前を知っている人が多かったです。どんな内容が書かれているのか気になり、この二冊は今回購入していました。

留学生に限らず、技能実習生や観光客としても、日本にやって来るベトナムが急増している昨今。実際に日本の生活を体験した彼らがどんな風に日本を紹介しているのか(もちろんこうして出版されるのはごく一部ではありますが)、ぜひ読んでみようと思います。

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書店FAHASAにて①

眼鏡が顔の一部になって20年の私、最近、たま~にするコンタクトの度数があわず、コンタクトをするたびにクラクラな状況に陥っていましたが、本日、ようやく解決…。左右差がある、ある、と言われていた視力が、実はそんなに差がなく、コンタクトの度数を左右そろえたらすっきりクリアな視界になりました。な~んだと、ちょっと拍子抜けでした。眼鏡では左右度数の違うレンズを選んでいますが、度数を細かく決められる眼鏡と、あんまり細かくは決められない(ので、そろえたほうがちょうど良かった)コンタクトの違いに今頃気づきました。遅い…。

余談から始まってしまいましたが。

今日は書店・FAHASA(ファハサ)のお話。

ホーチミン渡航の際に必ず立ち寄るように心がけている本屋さん、FAHASA。市内に何店舗もあるチェーン店ですが、大型の1区Nguyễn Huệ(グェ~ン・フエ)通りの店舗に帰国前日に行ってきました。噂に聞いていた「紀伊国屋書店コーナー」を偵察。これまでホーチミンでは日本の書籍は手に入りませんでしたが、最近この店舗限定で設置されたというこのコーナーでは、品数に限りはありますが、輸入品である日本の書籍を購入することができます。設置を最も喜んでいるのは在住日本人の皆さまかもしれませんが、ラインナップとしては地元の人を意識している印象。日本語学習者向けの日本語テキストや、ドラえもんなどの人気の漫画、暮らし、ファッション、料理、ビジネス等の実用書がメインで、小説などはあまり無かったです。輸入品なので日本で購入するよりも若干割高ですが、コーナーは立ち読みをする地元の人たちでそれなりに賑わっていました(日本語が読める地元の人、ということだと思いますが…)。

「外国文学」のコーナーもチェック。年々、ベトナム語に翻訳された日本の書籍が増えています。翻訳者さんが増えてきている、ということなのかもしれません。とても嬉しいことです。以下、今回見つけたいくつかの書籍をご紹介。

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日本で新刊が出るたびにベトナム語訳も出る、村上春樹氏作品群。ベトナムで最も翻訳されている日本人作家と言っても過言ではないと思います。

(左)Biên niên ký chim vặn đây cót →『ねじまき鳥クロニクル』

(中央)Kafka bên bờ biển→『海辺のカフカ』

(右)Tazaki Tsukuru không màu và những năm tháng hành hương→『色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年』

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こちらは市川拓司氏作品群。来るたびにベトナム語訳が徐々に増えています。ベトナム語のタイトルからどの作品かを検討するのが、私の楽しみです。

(右)Em sẽ đến cùng cơn mưa→『いま、会いに行きます』(ベトナム語では「私は雨とともに行きます」と訳されています)

(中央)Tôi vẫn nghe tiếng em thầm gọi→『VOICE』(ベトナム語では「君が密かに呼ぶ声を僕は今もなお聴く」と訳されています)

(右)Nếu gặp người ấy, cho tôi gửi lời chào→『そのときは彼によろしく』

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こちらは半年前には見なかったので、つい最近翻訳されたんじゃないかと推測していますが(出版日をチェックし忘れました…)、百田尚樹氏の『永遠の0/Không chiến ZERO rực lửa』です。詳しい単語のチェックは本サイトの★看板★ページに後ほど掲載してみようと思います。

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現代の作家だけでなく、太宰治や樋口一葉も翻訳され始めています。

(左)Tà Dương→『斜陽』

(右)Một mùa thơ dài→『たけくらべ』(ベトナム語では「頑是ない季節」と訳されています)

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日本文学のベトナム語訳はもちろん他にもありましたが、今回気になったのは以上です。これらの書籍がどんな読者の手に取られ、彼らはどんな感想を抱くのか…。いつか友人たちに聞いてみたいなぁと思うと同時に、逆の方向で、日本に紹介されているベトナム文学を今一度しっかり手に取ってみようと思った次第でした。《続く》

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9/6 研修6日目~アナウンサー?~

ビンさんとの座談会。ホーチミンの大学生たちのキャリア形成や労働観について、ご自身の会社を経営しながらキャリアアドバイザーの仕事もしているビンさんにお話を伺いました。

通訳しながらのお話の途中、不意に「アナウンサー」という単語が登場。「あれ、アナウンサーって何だっけ…」と咄嗟に出てこず。説明をしたらビンさんがその場で教えてくれました。

Phát thanh viên(ファッ・タィン・ビェン)、漢字由来で【発声員】。声を発する人、アナウンスをする人という、わかりやすい単語でした。実はビンさんがもう一つ教えてくれたのが、Bình luận viên(ビン・ルァン・ビェン)、こちらも漢字由来で【評論員】。コメンテーター、という感じでしょうか。

一日一語を増やしていけば一年で365個も単語が増える…と、言うは易しですが、日々精進します。

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