思い出の曲は何ですか

お仕事で毎週通っている専門学校の、ベトナム人留学生たちからインタビューを受けた今日。私の担当ではない他の授業でインタビューの練習をしているのだそうで、彼らのインタビュー対象者になりました。テーマは「あなたの思い出の曲は何ですか」。思い出の曲…思い出の曲…と考えて、意外と思いつかないものだなぁと焦りつつ、パッと浮かんだのは、ホーチミン暮らしの間に出会った「Chênh vênh」(チェィン・ヴェィン)という歌でした。Lê Cát Trọng Lý (レ・カット・チョン・リー)という現在28歳の女性歌手が作詞作曲しています。

この曲が思い出深いのは。ホーチミンでのある日、ふらりと入ったおしゃれなブックカフェで、BGMとしてこの曲が流れていました。歌詞の意味もよくわからない、だけどとても聴き心地がよくて、歌声もメロディーも繊細で、聞いた瞬間にはもう「ああ、私これ好き」と思ったのでした。ひとめぼれ。それまでにもベトナムの歌はそれなりに聞いてきたけれど、「ああ、私これ好き」と思えるものは残念ながらあまりなくて、お気に入りの曲が欲しいなと思っていた私だったので、迷わずお店の人に声をかけ、「今流れているこの曲、何ていうの? 誰が歌ってるの?」と尋ねたのでした。教えてもらった名前をメモして、その夜はすぐにネットで検索。後日CDも購入して、帰国した今も繰り返し聴くほどに、彼女の楽曲のファンになりました。そんなエピソードがあったので、思い出深い曲となりました。出会えた、という気持ちが強かったです。

Lê Cát Trọng Lý の書く詞は非常に抒情的で、抽象的で、だから難解で、ベトナムの友人たちに歌詞の意味を尋ねても「ああ、難しいよね…なんと説明したらいいか…」といまだに誰一人、まともに教えてくれた人がいません(笑) 私がカフェで偶然出会った「Chênh vênh」も例外でなく(というよりも彼女の楽曲のなかでも最も難解らしく)、歌詞の難解さもさることながら、タイトル自体がなかなか普段は耳にしない単語で。Tratu という越越辞書を引くと、この単語はこんな風に説明されています。

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[Tính từ] ở vị trí cao mà không có chỗ dựa chắc chắn, gây cảm giác trơ trọi, thiếu vững chãi

【形容詞】 確かな拠り所のない高い位置にいて、孤独で不安定な気持ちを引き起こす。

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そう、難解なのです(笑) 現在28歳、この曲が発表された当時はおそらう23、24歳だった彼女が、このような単語をタイトルに持ってくるのが、単純にすごいなぁと思います。「浮遊」とか「孤高」とか、なんとなくそんな日本語が浮かぶのですが、まだしっくりこない。越日辞書を引いても、「ぐらぐらしている」とか「不安定な」という訳は載っていますが、やはり不十分な感じがしてしまい…。しっくりくる単語を探し始めて早くも3年くらい経過しています。こういう単語に出会う度、翻訳って、私がいかにベトナム語を知ってるか以上に、いかに日本語を知ってるかが重要だということを思い知らされます。きっとこれからも先ずっと、こういうことで悩んで日々過ごしていくのでしょう。そんなことを思い出させてくれた、今日のインタビューでした。ありがとう。

タイトルを検討するだけじゃなくて、いつかこの曲の歌詞を「勝手に翻訳シリーズ」のコーナーに掲載するのが秘かな目標だったりします。えいえい、おう。

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『ひかりのすあし』展

ピアノのお仕事をしているご友人Uさんが、なんと下駄職人デビュー!?という情報を聞きつけて、神楽坂のKANNO TEXTILEさんで開催中の『ひかりのすあし』展に行ってきました。インドやウズベキスタンの布でお洋服や雑貨を製作しているKANNO TEXTILEさん、その端切れを使ってUさんが鼻緒をつくり、このたび素敵な下駄たちが誕生したのでした。

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下駄って、思えば初めて履いてみたのですが、とてもしっかりしたつくりで安定感抜群。手仕事ならではの細かさで鼻緒の裏地にも可愛らしい布が使われていて、ちらりと見えたときに嬉しくなります。思わず一つ購入(写真一番右のものです)。和装だけでなく洋装にも合わせやすいということがわかったので、この夏たくさん履いてみようと思います。

KANNO TEXTILEさんのお洋服や雑貨もとても素敵で、布への深い愛情を感じた時間、空間でした。素敵なひとときを、ありがとうございました。

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『博物館で野外シネマ』

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今日は妹ちゃんからのお誘いで、上野の東京国立博物館で開催されたイベント『博物館で野外シネマ』に行ってきました。2014年から始まったというこのイベント、今年の上映作品は細田守監督の「時をかける少女」。今年で公開から10周年という記念に(しかも公開は10年前の7月15日だったそう)、今回野外でのイベントが実現したそうです。細田作品はどれも大好きでずっと観てきたのですが、「時かけ」が公開したのが10年前…という事実に軽い衝撃を受けました。確かに大学生の頃だったかも…と、当時の記憶も一緒にあれこれ思い出してしまいました(笑)

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妹ちゃんが事前にチケットを買っておいてくれたおかげでスムーズに入れ私たちでしたが、入り口には当日券を求める人々の列がずらりと並び、いざ会場に足を踏み入れたら人、人、人…!前日の15日が雨天中止となってしまった影響か、本日はかなり大勢の人が来ていたようです。まるで小規模な音楽フェスのようで、会場は穏やかながらも熱気に包まれていました。

「時かけ」は久しぶりに観ましたが、ストーリーは知っているはずなのに、あの透明感溢れる内容にホロリ。途中、機材トラブルで二度も画面が消えてしまうというハプニングはありましたが(笑)、やっぱり素敵な映画なんだなぁと再認識しました。上映後には主題歌を歌う奥華子さんのミニライブもあって、これまた透明感のある歌声を堪能しました。奥さんの歌、素晴らしかったです。

普段から映画館に行くのは大好きですが、野外で観賞する機会はなかなかないので、特に夏の夜にはいいものだなぁと思いました。そしてなんとも感激したのが、この素敵なイベント、企画協力のところに「キノ・イグルー」さんのお名前があったのです。「旅する映画館」として全国各地を回り映画を紹介しているキノ・イグルーさん、実は2014年に初の海外イベントとして、ベトナムはホーチミンにやって来たのでした(ホーチミン市内のカフェVi Duさんと、カルチャースクールのOverland Clubさんの二か所で上映会を実施してくれました)。当時まだホーチミン暮らしだった私は、「日本から映画館がやって来る…?!」と興味津々で、Vi Duさんでの上映会に参加しました。今日の野外イベントのように大規模なものではなく、参加者も30名ほどのこじんまりとした会でしたが、キノ・イグルーさんの映画に対する愛や深い見識、そして紹介してくれた作品たちの面白さにすっかり魅了された一夜で、今でもよく覚えています。そんなキノ・イグルーさんが今回の「博物館で野外シネマ」にも協力されていたということで、不思議なご縁を感じてしまった私でした。

参考までに、2014年当時Overland Clubさんが掲載していたイベントのお知らせはこちら

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この夏も、素敵な映画にたくさん出会いたいです。

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「ヘム」のこと

「ヘム日記の『ヘム』って何ですか?」というご質問をいただきました。

ヘムはベトナム語のhẻm(ヘ~ム)=「路地」のこと。私がホーチミンで暮らしていた約5年間、2回引っ越しをして、合計で3か所の家に暮らしたのですが、いずれも大通りには面していない路地のなかにある家でした。3軒とも偶然見つけた家でしたが、なんだか不思議なご縁を感じました。そして、私がいるところ=路地の自室からベトナム情報を発信してみよう、という想いを込めて立ち上げたブログを「ヘム日記」と名付けたのでした。懐かしいです…(笑)

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路地というと、人がやっと通り抜けられるような狭いイメージがあるかもしれませんが、写真のようにバイクも悠々通れる広めの路地がたくさんあります。民家が建ち並び、風通しをよくするために開け放たれたドアからは、家の中まで覗き見れてしまいます。自転車に乗った女性たちが、歌うような大声で果物やおこわを売り歩く姿もあり、ヘム散策は本当に楽しいのです。

北部では、ngõ(ゴ~)と呼ばれるという路地ですが、南部ではhẻm(ヘ~ム)のほうが一般的で、私はすっかりこちらのほうに慣れてしまいました。東京・江古田には「Ecoda Hẻm」という名のベトナム料理屋さんがありますが、ここのオーナーさんも、南部に親しんできた方なのかなぁなんて、勝手に想像させていただいています。

今後も現地に行くたびに、カメラを持ってヘム散策に興じたいと思っています。

★写真は以前旅をした、水上マーケットで有名な街、Cần Thơ(カントー)のヘムです。カントー旅の様子はこちらに書いています。よろしければあわせてご覧ください。

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ベトナムコーヒーのイラスト

本サイトのロゴマークとして使用しているベトナムコーヒーのイラスト。この素敵なイラストを描いてくださったのは、OKKOYOKKOさんというイラストレーターさんです。

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OKKOYOKKOさんとは、タイを中心に東南アジアの美味しいごはんたちを紹介しているクルアノックさんが主催した2015年夏のイベント「ンゴンゴマーケット」で知り合いました。この日がOKKOYOKKOさんとは初対面だったにも関わらず、二日間のイベントの合間に鎌倉のとあるゲストハウスの同じ部屋に宿泊することになり(笑)、そのおかげですっかり打ち解けることのできた、楽しいひとときをご一緒させていただきました。

★イベントの様子は以前の「ヘム日記」に綴っています。ご興味ある方はこちらからどうぞ。

「ンゴンゴマーケット」では、OKKOYOKKOさんはタイの可愛い雑貨たちを販売されていたのですが、イベントのフライヤー製作も担当されていて、私がイベント内でベトナムコーヒーを出すということで、メニューの挿絵用にとこの素敵なイラストを描いてくださったのでした。元々ベトナムコーヒーを愛してやまない私は、このキュートなイラストに胸をずきゅんとされ、今回、このサイトのロゴマークに使わせていただいくことになりました。

素敵なご縁に、とても感謝しています。

★OKKOYOKKOさんのブログはこちら

★食べて旅する東南アジアごはん~クルアノックさんのブログはこちら

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