好きなベトナム語を教えてください

ベトナムはテトを迎えましたね。大変遅ればせながら Chúc mừng năm mới! 不安なことがたくさんあるご時世ですが、みなさんにとって心身ともに健やかな一年となりますように。

本日はひとつ、完全に私の趣味のようなもので恐縮ですが、Instagramを使った小さな企画のご案内です。みなさんの好きなベトナム語を教えていただけませんか?単語でも文でも、挨拶でも何かのスローガンでも、本当に何でも構いません。

どんな言語もそうですが、ベトナム語にも素敵な言葉や表現がたくさんあって、日常的にベトナム語を使っている方や学習中の方には、きっとそれぞれのお気に入りがあるんじゃないかなと想像します。それらをアンケートで募らせていただいて、私のInstagramアカウント(こちら)で少しずつご紹介していけたら…という企画です。みなさんとベトナム語の面白さや美しさを共有して、ベトナム語を愛でたいなぁと。

アンケートは、以下のリンクよりご回答いただけます。匿名でもokですので、ご協力いただけたらとてもとても嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。

ちなみに私は拙書の中でも紹介した thông cảm という言葉が大好きです。

木村友紀

今日のベトナム語~よいお年を【その二】

「よいお年を」というベトナム語表現について、以前こんな記事を書いたことがありました。2016年の大晦日、今から約4年前の投稿で、時の流れの速さに驚いています。

実はこの記事、今でも西暦&旧暦の年末の時期になると多くの方にアクセスしていただいているようです。拙い内容にもかかわらず、ご覧いただきありがとうございます。すでに2021年は迎えましたが、ベトナムはむしろこれからの旧正月が本番ということで(今年の元旦は2月12日)、この機会にあらためて「よいお年を」という表現について見直してみました。

 

先の投稿で私は、こちらを紹介しました。

Chúc bạn ăn Tết vui vẻ.

元記事でも解説していますが、これはChúc + 相手 + 名詞/動詞 + vui vẻ. の形で「相手は楽しく名詞/動詞であることを願います(~でありますように)」という構文を使っています。そのため、上記のベトナム語は直訳すると「あなたは楽しくテトを祝えますように」となり、年末のタイミングで使われるフレーズとはいえ、正確に言えば「よいお年を」ではなく「よいお正月を」という意味合いです。

そこで、日本語の「よいお年を」により近い表現は何だろう?とあらためて考えてみると、以下のいくつかの文が思い浮かびました。私個人の経験と、現地新聞 Lao động(ラオ ドン/労働)のこちらの記事も参考にしています。もちろん他にも相手やシチュエーションに合わせてさまざまな表現がありますので、以下はあくまでも一例にすぎませんが、汎用性が高いのではと思います。以下のすべてに共通するのは、やはり 《Chúc(祝う・願う) + 相手》 の形で始めて相手のことを願う表現であるという点と、năm mới「新年」という単語が使われている点です。

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Chúc bạn năm mới vui vẻ.

「新年が楽しくありますように」

Chúc bạn năm mới hạnh phúc.

「新年が幸せでありますように」

Chúc bạn năm mới tràn ngập niềm vui.

「新年が喜びに溢れますように」

 

それぞれに vui vẻ「楽しい」、hạnh phúc「幸せな」、tràn ngập「溢れる」、 niềm vui「喜び」という意味です。これらを適宜、またはすべて組み合わせて、

Chúc bạn năm mới vui vẻ, hạnh phúc, tràn ngập niềm vui.

「新年が楽しく、幸せで、喜びに溢れますように」

としてもいいでしょう。また、mạnh khỏe「健康な」といった別の単語を使って、例えばこんな感じにもできます。

Chúc bạn năm mới vui vẻ, hạnh phúc, mạnh khỏe.

「新年が楽しく、幸せで、健康でありますように」

 

さらに、次のような表現もあります。

Chúc bạn mọi điều tốt đẹp trong năm mới.

「新年には万事がうまくいきますように」

mọi điều「あらゆる事柄、万事」、tốt đẹp「良い、善い」、trong~「~の中、~において」という意味で、日本語の「よいお年を」とニュアンスがとても似ている気がします。

Chúc bạn gặp nhiều may mắn trong năm mới.

「新年には多くの幸運に出会えますように」

それぞれにgặp「会う」、nhiều「たくさんの」、may mắn「幸運」という意味で、こちらもよく耳にしました。

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コロナ禍で、例年通りのテトを迎えられない人も多いかもしれません。ですがこんな状況だからこそ、身近にいる大切な人たちには心を込めて言葉を贈れたらいいなと思います。「よいお年を」という表現の一例として、ご参照いただければ幸いです。Chúc các bạn mọi điều tốt đẹp trong năm mới !

From Hem

今日のベトナム語~sống còn~

正確な場所は忘れてしまったのですが、写真は、ホーチミン市のとあるローカル団地内に掲げられた標語を写したものです。最近この写真を見返していて、ふと sống còn ってどういう意味だったっけ?と調べてみたら、なかなか解釈に迷うものでした。

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tiết kiệm : 倹約する、節約する
A là B : AはBである
giải pháp : 解決策
sống còn :???
A của B : BのA
chúng ta : 私たち、我々
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問題の”sống còn” についてですが… sống(住む、生きる)も còn(まだ~である)も単独ではとても身近な単語なのに、この順番で組み合わさると途端に謎めいて見えるから不思議です。

越越辞書によると、”có tính chất quan trọng quyết định đối với sự sống, sự tồn tại”(生命、存在を決定づける重要な性質を持つ)という意味の形容詞とあります。一方で越英辞書には “vital” とあります。今度は英和辞書で調べてみると、『①命の、生命に関する ②生命維持に必要な、延命させる ③元気な、生き生きした ④元気づける、生き生きさせる ⑤(存在に)必須な、不可欠の ⑥極めて重要な ⑦致命的な、死を招く ⑧《生物》生体の』とあります。

これらを総合的に見て、ここでは「(存在に)必須な、不可欠の」という意味なのかなと思い至りました。すなわち看板の一文を直訳すると「倹約は、我々の不可欠な解決策である」。

しかしこれはかなりカタイ日本語です。標語らしいすっきりとした言い回しはないものかと、Instagramで同様の内容を投稿したところ、フォロワーさんたちから訳語についていくつかの素敵な提案をいただきました。敬意を表して、下にも記載させていただきます。

「倹約は我々の生きる術だ」
「倹約こそ我々が生き延びる術だ」
「倹約は私たちの生命だ」

sống còn を「生きる」や「生き延びる」、giải pháp を「術」と訳すのは素晴らしいと思いました。そしてこれら二つを合わせて「生命」と訳す思い切りの良さ私にはなかなか思いつかなかったので、とても参考になりました。Cảm ơn chị Hirono và em Ngọc!

意味が掴めてくると、今度はこの標語の由来や背景、団地に掲げられた経緯も気になり。物が少なかった時代の名残か、豊かになった現在への戒めか。そもそも誰かの発した有名な台詞なのか…などなど、興味は尽きません。看板ひとつから学びは広がっていきます。

From Hem

音読のススメ

休業中の今、残念ながらベトナム語を話す機会がめっきり減ってしまいました。そこで始めてみたのが「音読」です。

音が豊かで多様なベトナム語は、口を大きく開けたり、口の端をぐっと横に引いたり、頬に空気を含ませたり…と、口まわりの筋肉をたくさん動かして発音します。そんなベトナム語を話さないでいると、悲しいかな、口まわりの筋肉が衰える感覚があるのです。実際、ベトナム語を始めてから「表情が明るくなった?」と言われたこともあれば、逆にベトナム語から数か月離れただけで頬のあたりがこわばり、笑顔がひきつる感覚を経験したこともあります。

「読む」「書く」「聞く」は、家でひとりでも比較的訓練しやすいと思うのですが、「話す」は通常相手を必要とします。ですが赤ちゃんとの暮らしの中で、今の私にはオンライン上で誰かとおしゃべりするのも一苦労。そこでふと思い立ったのが、ひとりで気軽にできる「音読」でした。すでに実践している学習者の方も多いかもしれません。

音読する題材は、自分に合っていれば何でもいいと思うのですが、せっかくなら楽しみたい。私はベトナムの新聞 Tuổi Trẻ(トゥオイチェー)のウェブサイトをスマホで開いて、そのときにトップに出てきた記事を読むようにしています。記事の配列は頻繁に変動するので、「さて、今だったら何の記事が出てくるかな?」というちょっとしたワクワク感がありますし、ベトナムの情勢を知れるので勉強にもなります。ちなみに昨日はこちらの記事を読みました。新型コロナウイルスの影響で、人々の2020年の平均所得や2021年のテト(旧正月)ボーナスは例年より低くなる見通し、という内容でした。

音読するときに心がけていることは、

■目標は1日1記事。長い記事だったら途中で止めても良し。

■正しい発音を意識して、ゆっくりと丁寧に読む。

■誰かに聞かせるように、大きな声で読む。

■目的は音読なので、知らない単語があっても読み通す(あとでどうしても気になったら調べる程度でOK)。

この4つ。所要時間は今のところわずか10分程度ですが、実際に声に出してみると、自分がいまだに苦手としている=口の動きが鈍い発音が浮き彫りになって面白いです。

音読は、口がベトナム語を忘れないための「筋トレ」のつもりでやっていますが、にわかに得た知識によると、どうやら自律神経にも良い影響を与えるようで。ベトナム語を使って自分自身のコンディションも整えられるなら嬉しいことです。まずは習慣化することを目標に、自分へのノルマもゆるくし、読めた自分を褒めてあげることも忘れずに◎ これまでと同じようには過ごせない今は、とにかく楽しみながら続けようと思っています。

本文とは全く関係ありませんが、妹が描いてくれた息子の似顔絵。いつもギュッと握られた小さな手。寝た隙に開いてみると、時々ホコリ?が出てくるのが可笑しいです。

From Hem

新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

昨年も相変わらずの気まぐれ更新となってしまいましたが、当ウェブサイトを訪れてくださり、ありがとうございました。

2020年は、世界中が新型コロナウイルスに染められた年となりました。「三密」「ソーシャルディスタンス」「新しい生活様式」「ウィズコロナ」… つい一年前まで存在しなかったこれらの言葉を、今では私たちは常に意識して暮らすこととなりました。誰もが日々の営みに大きな影響を受け、新年を迎えた今もなお、感染症の恐ろしさや先の見えない不安に直面しています。

私自身は、コロナ禍で現場に出向く通訳の仕事が激減し、対面を主としていたベトナム語レッスンは休止やオンラインレッスンへの移行を余儀なくされました。その一方、在宅でできる翻訳や校正の仕事を続けられたこと、語学テキストの執筆という新たな取り組みができたことには、心から感謝しています。

そんな昨年は、実はプライベートでひとつの大きな変化がありました。新しい命を授かり、11月末に男の子が誕生しました。私の通っていた産院はコロナ禍で立ち合いや面会がすべて禁止され、心細い思いをしてしまいましたが、お医者さん、助産師さん、看護師さんたちのあたたかいサポートを受けながらお産を迎え、母子ともに健康で退院することができました。医療従事者の方々の存在に救われ、支えられて生きていることを実感する出来事でした。

現在は初めての子育てに右往左往し、めまぐるしく変化する子の姿に一喜一憂する日々を過ごしています。しばらくは子育てを中心とした生活を送るため、勝手ながらベトナム語の仕事を一時的にお休みさせていただいています。今年春頃から少しずつ再開していければ…と目論んではいますが、そんなにうまくはいかないかもしれません。復帰時期についてはあらためて当サイトにてお知らせできればと思っています。

2020年は自分の生き方を見直すとともに、変わらずに近くにいてくれる人たち、会えなくても繋がってくれている人たちのありがたさ、そして何よりも元気に暮らせる日常の尊さに気づいた年でした。どうか2021年が皆様にとって、少しでも安心して暮らせる年となりますように。少しでも早く、行きたいところに行け、会いたい人に会えることができる世の中となりますように。

本年もよろしくお願いいたします。

木村友紀