
2020年10月に、池田書店様より「いちばんやさしい使えるベトナム語入門」という語学テキストを上梓しました。それから5年近くが経ちましたが、ありがたいことに何度か版を重ね、今でも各所で取り扱っていただいています。実際に手に取ってくださった方、周りにご紹介くださった方、そして日頃より私の活動を応援してくださっている方々に、心より御礼申し上げます。
本書は、2020年はじめに版元の池田書店様、編集会社のエディポック様からお声がけいただき、執筆者として迎え入れていただいたところから制作がスタートしました。その過程では、私自身が複数の語学学校で教えてきた経験を最大限に生かし、これからベトナム語を始める方にとって少しでもベトナム語が身近に感じられるよう、「わかりやすさ」を大切な指標として掲げました。具体的には、発音が難しいとされるベトナム語に対し、その発音の解説と練習に紙面を使い、独自の方法で紹介(第1章)、また声調の動きを表す矢印を付けたり(第1~3章)、全体を通してアルファベットや記号を大きく印字するなどして視覚的な効果も狙いました。ダウンロード形式の音声には「普通スピード」と「ゆっくりスピード」を収録し、ていねいな発音練習がしやすい仕様にしました。
従来のベトナム語テキストでは、読者(学習者)の方が旅行や出張などでベトナム現地に赴くことを想定した会話や問答が多く紹介されていましたが、当時の世相を踏まえ、本書では日本に暮らすベトナムの方々と出会い、交流する際の会話例も掲載されています(第5章)。ベトナム人在住者がますます増える昨今、将来的にはこの第5章をもっと手厚く、充実した内容に仕上げていく必要があると感じています。
以下は、版を重ねるごとにSNSなどに書いてきた文言なのですが、思いは変わらないので、ここにもあらためて記載しておきたいと思います。
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昨今、毎年ベトナム語の新たなテキストが出版され、書店に並ぶようになりました。いえ、実際には書店に並ぶベトナム語の本は(残念ながら)ほんの一部なので、試しにAmazonなどで全容をご覧いただくと、ここ10年ほどの間にその数がいかに増えたかがわかると思います。何事においても、選択肢がある(または選択肢が多い)というのは素晴らしいことだと感じます。語学学習においても同様です。学習者様それぞれにお好みや使いやすさの基準があるはずですので、ぜひあれこれと比較して、ご自身に合ったテキストを見つけてみてください。拙著が皆様の選択肢の一つにあがるだけで、私は大変嬉しく思います。
一方で、昨今数が増えているベトナム語テキスト、拙著も含めそのほぼすべてが入門編であることは、悩ましい問題であるとも思います。入り口が多様化することを喜びつつ、入り口の先に広がる豊かな世界を紹介し続けることも忘れてはいけないはず。私も、微力すぎるほどに微力ではありますが、自分にできることを模索し続けたいと思います。
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「いちばんやさしい」を目指した本書は、引き続き全国の書店やAmazonなどのオンラインストアにて販売中です。ぜひお手に取っていただき、皆さまのベトナム語学習の伴走者となれることを願っています。
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