2025年夏 ホーチミン旅の記録 | (5) ベトナム料理を味わいたい

私が過去にホーチミンで元気に暮らすことができたのは、さまざまな幸運や、周囲の方々に恵まれたおかげなのですが、「ベトナム料理がとても美味しかった」ことも、間違いなくその一因だと思っています。食材が豊かで、丁寧に作られ、味も繊細。どれも本当に絶品で、当時、食べるもので困ったことは全くありませんでした。街中に気軽に入れる食堂や屋台が多いことも、一人暮らしだった私には大きな助けとなっていました。

今回の滞在でもアレコレ食べよう!と意気込んでいたのですが、実は現地到着後に少し体調を崩してしまい、食欲がいまいち湧かないという事態に陥りました。それはそれは悔しく情けなかったのですが、出発前に連日寝不足だったことやその他もろもろ、いくつかの要因が組み合わさってのことでした。大好きなホーチミンに来たからと言って元気溌剌!と若返ることはできず、気合いだけではどうにもできないことがあるという事実を突きつけられました。

とはいえ、そう簡単には諦められないベトナム料理。無理のない範囲で、少ない量でもいいから楽しもうと、その都度、胃腸と相談しながらトライすることに。そうして味わうことができた料理たちの一部が、こちらです。(※ここでは、旅日記その2で綴ったレストラン「フーンライ」での食事は除いています。)

それぞれについて解説したり、エピソードを添えたりするのは割愛しますが、一つだけ。私の大好きなベトナムの家庭料理に、Canh Chua(カイン・チュア/ 酸っぱいスープ)があります。ベトナム南部のメコンデルタ地域を発祥とするもので、タマリンドの酸味をベースとして、トマト、パイナップル、もやし、オクラなどのたっぷりの野菜と魚を入れるのが主流に感じますが、他にもお好みの具材を合わせることができるようです。私はこのカインチュアの、複雑で深みのある味わいが以前から好きだったのですが、日本にあるベトナム料理店ではなかなか出会う機会がなく、これはぜひ現地でこそ食べなければと考えていました。

ただ、上述した通りの体調不良。ホテル周辺のお店にはなさそうなカインチュアを求め、あちこち駆け回ることも難しそうだったので、今回は早々に諦めていました。そんな時にお招きいただいた友人宅で、なんと、友人が出してくれたのがお手製のカインチュアでした(写真6枚目)。私が好きだったことを覚えていて、準備して待っていてくれたようで、その心遣いに感動する一方、万全ではない自分の体調を心底恨みました。その豊かな味は、いただいた少しの量であっても心身に染みわたりましたが、本来だったらもっとたくさん、もっと美味しくいただけたはず。そのことを詫びると、「またリベンジしに来なくちゃ」と励ましてくれた友人。彼女の優しさを、これから先も忘れずにいたいと思います。

おまけ①

食堂に入って料理を注文し、ふとテーブルの端に目をやると、必ず置いてある箸や調味料のセット。妙に好きなんだよなと思いながら眺めていました。

おまけ②

食欲が全く湧かず、夕食を断念して早々にホテルで休むことにした日もありました。でも、なんだか塩分だけがほしい。日本から梅干しでも持ってくれば良かった、何か類似品を…と思い立ち、ホテルすぐそばのコンビニに探しに行って、見つけたのが Muối Tôm(ムオイ・トム / 海老塩)。マンゴーなどの果物に付けて食べると美味しくて好きだったこれを、まさか単体で舐める日がやって来るとは思いませんでした。

お陰様で、帰国日にはだいぶ回復し、良好な状態で飛行機に乗れたのですが、次にベトナムに行くチャンスがやって来たときには、体調をしっかり整えて行こうと固く誓いました。みなさまもどうか、健やかで快適な旅を…!

(旅の記録、もう少しだけづづきます)

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