先日、今年3月まで正社員として勤務していた会社にて「ベトナムを知るセミナー」が開催され、講師役を務める機会をいただきました。
これからベトナムに赴任予定の方、出張で定期的に訪れている方などを対象に、主に私が暮らしていたホーチミンを主な例にとりながら、気候のこと、交通のこと、食文化、買い物事情、そして日々のなかで大切にしたいベトナム語表現など、暮らし全般についてのお話をしました。短い時間で多くの話題を詰め込んでしまったなぁという反省点はありますが、参加者の皆さんが熱心に聞いてくださり、活発な意見交換の場となったことを嬉しく思いました。
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そのセミナーの冒頭にご紹介したのが、この写真。2014年1月のテト(旧正月)の時期に、ホーチミン市内の路上で撮ったベトナム書道の写真なのですが、自分でもとても気に入っています。気に入っているのは、この一枚の写真に、ベトナムやベトナム語を知るきっかけとなる要素が詰まっているように思えるからです。
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中国の影響を多分に受け、書道文化が根付いていること。ベトナム語がアルファベット化した今でもこうして、世界でも稀少なアルファベットの書道として成立していること。共産党の垂れ幕を連想させる、赤地に黄文字のカラフルな表現もあること…。大国の思惑に翻弄されながら、強くたくましく、形を変えながらも自分たちの独自性としてその文化を残してきたベトナムという国と、その中で生まれ育ってきたベトナム語を感じることができる、そんな写真じゃないかなと思うのです。
ちなみに上記写真の、左寄りの赤地に黄文字の作品には ”Chúc Tết đến trăm điều như ý” =「テトが来たことを祝い、すべてがうまくいきますように」と書かれています。
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テトの時期には公園や路上に書家さんが集い、こうした作品を販売したり、道行くお客さんのリクエストに応えて新年の抱負を書いてくれたりします。テトの風物詩でもあるその様子は、私の大好きな一場面です。